販売資料に、
用途地域
の記載があるけど、マンション選びに関係あるの?
こんなテーマに関する記事です。
マンション選びの際に、その物件の所在しているエリアの「用途地域」の確認は、結構、重要です。
用途地域は、生活環境に大きく影響します。
中古マンションを購入される際には、検討段階で、そのマンションが、
どのような「用途地域」に立地しているか
もチェックしておくと良いでしょう。
なぜなら、用途地域は、
その地域の生活のしやすさに密接に関わっている
からです。
用途地域とは、市街化区域において、そのエリアに建ててもよい建築物などの規定(制限)をしているものです。
定義としては、下記になります。
都市計画法の地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的としている。
住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層住居専用地域など13種類がある。(Wikipedia)
つまり、
「そのエリアにどのような用途の建物を建てても良いのか」
を行政が定めている、ということです。
例えば、
住宅地域に工場が建つと、騒音などで快適な生活が損なわれる
といったことがおきますので、事前に用途地域をチェックすることで、そういったことを防ぐ目的があります。
また、現時点ではそういう施設がなくても、将来、建つ可能性もあります。
※また、湾岸のタワーマンションなど、準工業地域や工業地域に建てられているようなケースもあります。
用途地域は、
3つのカテゴリーで、計13種類
あります。
カテゴリーは、下記に3つになります。
・住居系
住環境が優先されている用途地域です。
13種類あるうち用途地域のうち、8つが「住居系」です。
・商業系
商業施設を中心とする地域です。
・工業系
工場を建ててもよい地域になります。
では、
マンション選び
で用途地域をみるときに、どのような点に注意していけばよいでしょうか。
大きくは、
・住居専用地域か、それ以外の地域か
と、
・高さについての制限がどうなっているか
です。
順に説明していきます。
住居専用地域かどうか
住環境を考えると、住居を優先にしたエリアである
住居専用地域
にある物件が望ましいと言えます。
住居系の地域の場合、
・建ぺい率
・容積率
で、建物を建てる時に、土地の広さに対する建物の規模の規制が、商業地域、工業地域に比べ厳しくなっています。
そうすることで、
建物が密集すること
を防いでいます。
また、住居専用地域は、
8つの種類
があり、それぞれ、高さなどの規制が設けられています。
また、住居専用地域以外でも、
利便性などを優先して、商業系地域、工業系地域
を選択する場合もあります。
その際は、騒音など、マイナス要素もありますので、事前に十分把握して検討されることをお勧めします。
住居系の8地域について、下記に説明していきます。
第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域です。
主に、戸建て住宅が多いエリアです。
また、床面積50平米以下の小規模な店舗もOKな地域です。
高さは、10mや12mなどに制限されています。
マンションの場合は、
低層マンション
となります。
第二種低層住居専用地域
基本、第一種低層住居専用地域と同じですが、コンビニや飲食店などの店舗もOKな地域です。
マンションの場合は、
低層マンション
となります。
第一種中高層住居専用地域
中高層住宅のための地域です。
高さ制限(絶対高さの制限)はありませんが、
斜線制限
と呼ばれる「道路や隣地への影に関しての規制」があります。
よく、高い建物で、上のほうの構造が、斜めになっているものが見受けられます。
あれは、影の影響を考えて、そういった構造になっている場合があります。
比較的小規模な、日常的に必要な店舗(喫茶店、理髪店など)も建ててよい地域です。
第二種中高層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域と比べると、周囲に建ててもよい施設の制限が緩くなります。
店舗も、業種の制限がなくなり、規模も、2階以下かつ1,500平方メートル以下のものが許可されます。
第一種住居地域
住居専用地域より、制限が緩いエリアです。
戸建て、マンション、店舗などが混在する場合があります。
人の行き来が多くなる可能性もでてくる反面、場所によっては、近くにお店があって利便性が良いといえる面もあります。
第二種住居地域
第一種住居地域との違いは、
パチンコ屋やカラオケボックス
なども建てても良いエリアになります。
準住居地域
道路の沿道、国道や幹線道路沿いで指定されることが多い地域です。
車の交通量によっては、
騒音、粉塵
など気になる部分はありますので、現地をよく確認しての検討をお勧めします。
また、倉庫、床面積が150平米以下の自動車修理工場なども建てることができるエリアです。
田園住居地域
2022年に、生産緑地法が終了することに合わせて、2018年4月1日に追加された用途地域です。
目的としては、
都市農地のある地域で、田園と市街地の共存を図る
で追加されたものです。
内容的には、第一種低層住居専用地域に近いものとなっています。
現状、田園住居地域のマンションはほとんど無いでしょう。
また、田園住居地域では開発規制がありますが、マンションが建つ場合は、開発許可をとってから建てられます。
今後、田園住居地域のマンションもでてくる可能性もあります。
周辺に農地が残っていたりすると、そういった雰囲気が好きな方にはお勧めです。
ただし、将来、そのエリアに別のマンションが建つ可能性もありますので、南向きにマンションが建つ可能性がある土地があるかなどといった点も踏まえての検討にはなります。
商業地域
商業地域は、
「近隣商業地域」
と
「商業地域」
の2つの種類があります。
どちらも、住居地域に比べ、規制は緩く、建物が密集したエリアになっている可能性が高いです。
「近隣商業地域」は、昔ながらの商店街が指定されている場合が多く、
「商業地域」は、駅周辺や市街地の中心部に指定されている場合が多くあります。
商業施設も多く、便利な反面、
騒音
であったり、
建物が密集している分、日当たり
などマイナス面もあります。
また、近隣にどんな建物が建つかわからないといった面もあります。
何を優先するかにもよりますが、商業地域の場合は、昼間だけではなく、夜の時間帯も事前に周辺環境をチェックすることをお勧めします。
工業地域
工業地域には、
「準工業地域」
「工業地域」
「工業専用地域」
の3つの種類があります。
このうち、
「準工業地域」
「工業地域」
には、住居を建てても良いとされています。
「準工業地域」と「工業地域」の違いは、
「準工業地域」は、危険度の高い工場はNGですが、
「工業地域」は、どんな工場も建築できるという違いがあります。
いずれにしても、工場もOKなエリアですので、
・騒音
・匂い
・トラックなどの大型車の往来
・土壌汚染の可能性
などのリスクがあります。
ただ、先にも記載しましたが、湾外エリアのタワーマンションなど、再開発に伴うマンションの建設がなされているエリアもあります。
工業地域特有のマイナス点はあるものの、利便性など全体のメリット、デメリットをみての判断にはなります。
高さについての制限がどうなっているか
第一種低層住居専用地域と、第二種低層住居専用地域には、
絶対高さの制限
で、建物の高さの制限を行っています。
それ以外に、行政で、
「高度地区」
というエリアを指定して
「建築物に高さ制限を設定した地域」
があります。
これは市町村で指定するもので、指定が無いエリアもあります。
内容的には、
「最高限度」または「最低限度」
の高さを指定するというものです。
通常は、「最高限度」を指定しますが、まれに、景観的な観点から「最低限度」が指定されている場合もあります。
高さ制限をチェックすることで、周辺にどの程度の高さの建物が建つ可能性があるか、チェックすることができます。
検討されているマンションの用途地域が、
どの種類に該当するのか
を事前にチェックして、該当エリアがどのような用途の地域なのかを事前に確認しておきましょう。
販売資料に記載されている場合もありますし、住所がわかれば、市町村の都市計画課でも確認できます。
また、市町村によっては、無料で、ネット上で確認できる場合もあります。
例として、東京都の場合は、下記のサイトから確認できます。▼
(画面の一番下の「同意する」から、画面を進んでいきます)
操作画面は下記にようなイメージになります。
各市町村でも、ネット上で同様なサービスを行っている先も結構増えてきました。
以上、「中古マンションの買い方 用途地域のチェック」についての説明でした。