2022年に、
住宅ローン減税(控除)の改正
があったんだけど、その内容を詳しく知りたい
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こんなテーマに関する記事です。
2022年の、住宅ローン減税(控除)の改正の内容について、注意点とあわせてわかりやすく説明しています。
住宅をローンで購入する際に、外せないのが、
住宅ローン減税(控除)
です。
正式名称は、「住宅借入金等特別控除」です。
手続きすることで、長期的に税金の控除をうけることができますので、かなりのメリットがあります。
また、手続きの際には、いくつかの条件があります。
では、
2022年住宅ローン減税(控除)の改正
では、その条件がどのように変わったのでしょうか。
結論から言いますと、
控除される額は、減る(控除率が1%から0.7%になる)
ことになっています。
ただ、一部の項目で、条件が緩くなっている点もあります。
下記に、
従来の住宅ローン減税(控除)の内容の整理
とあわせて変更点を順にみていきましょう。
改正前の住宅ローン減税(控除)の内容
改正前の住宅ローン減税(控除)の内容の概略は、下記のようになっています。
- 控除額;ローンの残高の1%
- 控除期間;10年間もしくは、13年
(消費税がかかる物件については、2019年10月より控除期間が、13年となっています) - 借入期間;10年以上
- 控除対象(住宅ローン減税の対象となる借入額の残高);
中古住宅:2,000万円(認定住宅は、3,000万円)
新築住宅:4,000万円~5,000万円(住宅の種類による)
※上記以上の借入残高がある場合、超過する分については、住宅ローン控除の対象外になります。 - 所得要件;年収3,000万円以下
- 住宅の床面積;50平米以上(不動産登記簿に記載の面積)
※床面積の1/2以上が自己の居住用であることが条件になります。
※不動産登記簿に記載の面積は、下記となります。
マンション;内法面積(壁の内側)
戸建て;壁芯面積(壁の中心) - 中古住宅の場合の築年数要;
鉄筋コンクリート造の住宅は築25年以内、木造住宅は築20年以内が対象。
築年数がそれ以上の物件については、新耐震の建物(昭和57年(1982年)以降の建築)であれば、既存住宅売買瑕疵保険、または、耐震基準適合証明書の添付で対応。 - 住民税からの控除上限額;
13.65万円/年(前年度課税所得×7%)
※参考;消費税がかかる物件について
消費税は、売主が個人か業者かで、異なってきます。
中古物件の場合などで、売主が個人の場合は、消費税が発生しません。
逆に、新築物件や、リフォームを行って売却する再販物件などえ、売主が業者の物件は、消費税が発生します。
※土地に消費税はありません。消費税の対象は、建物部分になります。
また、細かいお話しになりますが、今回の改正前の、消費税がかかる物件について、
11年目から13年目の控除額の計算
は、下記になります。
A,Bのうち、少ないほうの金額が控除額となっていました。
A. 住宅ローンの年末残高×1%
B. 建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3
もっとも、
2022年の改正で、上記も一律0.7%
となります。
※参考;2021年度(昨年度)の税制改正について
2021年度税制改正は、新型コロナウイルス蔓延による住宅需要を懸念して、
消費税がかかる物件についての
控除期間の13年
の条件が、引き続き、適応されました。
控除期間が延長する主な要件としては、
■契約期日
注文住宅:2021(令和3)年9月末
分譲住宅・中古住宅:2021(令和3)年11月末
■入居日
2022(令和4)年12月末
となっていました。
もっとも、今回2022年の税制改正でも、
消費税がかかる物件についての控除期間
は、13年になっていますので、控除期間に関しては、上記の期限は、実質、延長されたことになります。
但し、控除期間以外の条件については、2022年住宅ローン控除の改正前後で異なる項目がありますので、その点は確認しましょう。
2022年住宅ローン減税(控除)の改正後の内容
改正の背景
2022年住宅ローン減税の改正の背景としては、下記の3つのポイントがあります。
・金利と住宅ローン控除の逆ザヤの解消
現在、低金利なので、
「住宅ローン控除の額が、金利を上回っている」
という状況になるケースがあり、それを解消する為に、控除額の引き下げが行われています。
逆ザヤになっても、住宅という高い買い物をしているので、控除額は据え置きでも良いようにも思いますが、なぜか、改正の背景に、逆ザヤ解消という理由があがっています。
単に税収減の要因を減らしたいだけのような気もしますが、謎です。
また、金利が上がった時に、再び、改正がなされるのかは不明です。
・新築物件における「省エネ性能の向上」の促進
現在、新築住宅の省エネ性能等の認定基準に、
・認定住宅
・ZEH
・省エネ基準
といったものがありますが、その促進の為の規定になっています。
2024年以降は、上記の認定が無い「新築住宅」は、住宅ローン控除の対象外になってしまいますので、注意が必要です。
・規定が緩くなった事項があります。
これまで、築年数による制限がありましたが、改正後は、
新耐震(昭和57年(1982年)以降の建築)
であれば、その対象になります。
また、床面積の条件についても、緩和されています。
改正後の住宅ローン減税(控除)の内容の概略
2022年の住宅ローン減税の適用時期は、
実質、2022年1月からの入居
から適用できます。
初年度は、確定申告での申請が必要となりますので、忘れずに対応しましょう。
- 控除額;ローンの残高の0.7%
(1%から0.7%に変更。) - 控除期間;10年間もしくは、13年間
(控除期間は、変わらず。)
また、控除期間13年のケースでも、また、11年目から13年目の控除額も一律0.7%となります。 - 借入期間;10年以上
- 控除対象(住宅ローン減税の対象となる借入額の残高);
中古住宅:2,000万円(認定住宅は、3,000万円)
新築住宅:3,000万円~5,000万円(住宅の種類による)
(新築住宅の控除対象となる借入限度額が、4,000万円から3,000万円に引き下げになっています。
但し、認定住宅の場合、その内容により、上限が5,000万円となります。) - 所得要件;年収2,000万円以下
(3,000万円以下から2,000万円以下に緩和。) - 住宅の床面積;40平米以上
(50平米以上から、40平米以上に緩和) - 中古住宅の場合の築年数要;
新耐震の建物(昭和57年(1982年)以降の建築)
(新耐震の建物であればOKとなり、築年数の制限がなくなり、条件が緩和。) - 住民税からの控除上限額
9.75万円/年(前年度課税所得×5%)
(条件は、厳しくなっています)
住宅ローン減税(控除)の借入限度額(控除対象額)
住居の種別ごとの控除対象額は、下記になります。
参考;国土交通省のページより
下記の国土交通省のページには、下記の概要が記載されています。
国土交通省 住宅ローン減税等が延長されます!
~環境性能等に応じた上乗せ措置等が新設され… 国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。
税制改正の概要 (詳細は別紙をご覧ください)
(1)住宅ローン減税
○入居に係る適用期限を4年間(令和4年~7年)延長。
○令和4年以降に入居する場合※の措置は以下のとおり。
・ 控除率を0.7%、控除期間を新築住宅等は原則13年、既存住宅は10年とする。
・ 既存住宅を含め、住宅の環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置を講じる。
・ 令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅について、省エネ基準適合の要件化。
・ 既存住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)について、「昭和57年以降に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和。
・ 新築住宅の床面積要件について、令和5年以前に建築確認を受けたものは40㎡以上に緩和(合計所得金額1,000万円以下の者に限る。)。
・ 適用対象者の所得要件を合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引下げ。
※令和3年度税制改正における特例措置の適用を受ける場合を除く。
(参考)別紙(1ページ目)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001447132.pdf より引用しています。
まとめ
今回の住宅ローン減税の改正において、全体的には、
控除額が0.7%に減額
されることになり、残念な状況となっています。
しなしながら、金額はともかく、控除されること自体にはメリットがありますので、忘れずに、申請をしましょう。
会社で年末調整されている場合でも、初年度のみは、
確定申告
を行う必要があります。
次年度以降は、年末調整の際に、住宅ローン減税の書類を提出し、必要事項を記載することで対応できます。