不動産の売買の「IT重説」について知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
不動産を購入する際には、対面で、契約書や重要事項説明書の説明を受けることになります。ただ、現在は、ネット会議での説明でもOKとなっています。それら内容について、注意点とあわせてわかりやすく説明しています。
「IT重説」というワードがあります。
あまり一般的な言葉ではありませんが、不動産取引の際には、今後、聞くことがあるかもしれません。
「IT重説」とは、
ネット会議等のITツールを使って、遠隔地にいる相手方と映像を通して行う重要事項説明
のことです。
従来は、不動産売買の重要事項説明は、宅建業法上、対面で行うことが義務付けられていましたが、「IT重説」により、それが緩和されたことになります。
コロナの状況もありますので、ネットを通じての対応ができると便利ではあります。
ちなみに、賃貸物件の「IT重説」については、2017年(平成29年)10月1日から運用開始されています。
下記に、「IT重説」について流れや注意点について説明します。
また、国土交通省のオフィシャルなガイドは下記になります。
(参考)国土交通省 IT重説本格運用(令和3年度~)
「IT重説」の流れ
「IT重説」を行う際の流れとして、
事前に確認すること
と
当日の進め方
とにわけて見ていきましょう。
事前の確認事項
「IT重説」を行うことの同意
「IT重説」による重要事項説明を行うには、説明をする相手(買主さんや売主さん)の同意の上で進めることになります。
また、不動産会社によっては、「IT重説」を行うことについての「同意書」を求められる場合があります。
書類は事前送付されます
業者側の記名押印された重要事項説明書および添付書類が、事前に送付されてきます。
ですので、一般的なオンライン会議のように、画面上にデータを映して説明するというやり方はNGです。
必ず、書面が手元にある状態で行われることとなります。
また、重要事項説明書は、PDFなどのデータでの送付はNGです。
不動産会社の捺印がなされた紙の書面が事前に送付されることが必要となります。
IT環境のシステムチェック
オンライン会議によっては、事前にアカウントの発行が必要なものもあります。
通信環境も含めて、事前に問題ないかをチェックしておくことになります。
IT重説の開始
実際のIT重説の説明自体は、対面で行う場合の流れと基本同じです。
最初に、
宅地建物取引士証を画面上で確認
をしてから、具体的な書面の説明へと進みます。
その後は、
・重要事項説明書の説明
・売買契約書の説明
・設備関係や売主からの申し送り事項の説明
といった流れで進めていきます。
もし、途中で音声や映像が途切れたりした場合は、一旦中断して、環境を復旧してから再開します。
書面の郵送
IT重説が終了した後は、必要箇所に、
署名、捺印
をして、書面を不動産会社に郵送します。
契約書面としては、買主、売主双方の書面捺印が完了して、契約の成立となります。
「IT重説」の注意点
注意点としては、下記のポイントがあります。
環境的な部分
上記にも記載しましたが、説明の途中で回線の調子が悪かったりした場合、不安定な状態で進めずに、一旦、中断して、しっかりと回復してから進めるようにする必要があります。
実際、「IT重説」の試験運用の段階でも、環境的な不具合の割合が1割程度発生しています。
機器の不調もありますので、そういった場合は、あせらずに対処する必要があります。
録画される場合
不動産会社によっては、IT重説の内容を録画される場合があります。
内容を録画することで、後々、トラブルが発生した際の証拠ともなります。
もちろん、録画される場合は、承認の上でとなります。また、その録画データは、不動産会社側で個人情報保護法に基づいた管理が必要となります。
説明を受ける際の対応
実際にIT重説での説明の際には、通常の対面における説明と同じように、
内容については、十分に理解すること
が大切です。
その上で、署名捺印をすることになりますが、契約ごとですので、内容に不明瞭が箇所があれば、納得がいくように説明をうけるという対処が重要となります。
まとめ
「IT重説」については、不動産会社側も運用に慣れていないケースもあります。
ただ、実質的な内容は、従来の重要事項説明書の説明と変わりはありません。
ですので、ネット上での説明とはいえ、内容を十分に理解した上で、署名、捺印を行うようにしましょう。
以上、不動産の売買の「IT重説」についての説明でした。