不動産の契約でも、
クーリングオフ
は、適応されるのかについて知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
不動産の契約においても、状況によっては、クーリングオフが適用される場合があります。つまり、全ての場合に適応されるということではなく、「適用される為には条件がある」ということになります。その内容についてわかりやすく説明しています。
クーリングオフとは、
一定の契約に限り、一定期間、説明不要で無条件で申込みの撤回または契約を解除できる法制度(Wikipediaより)
です。
クーリングオフ制度の経緯は、訪問販売など、「強引な勧誘により高額な商品を購入させられてしまうようなケース」が社会問題になったことを背景に、1976年に公布された「訪問販売法」により制定されました。
さて、マンション売買などの不動産取引でも、クーリングオフが対応できるのかという点ですが、結論から言いますと、売買契約の取り交しについて、
一定の条件がクリアされれば、クーリングオフが適応
されます。
また、不動産売買の場合、
申込書(一般に、「購入申込書」や「買付書」と呼ばれる書面)
と
売買契約書
があります。
申込書については、申し込みの意思表示をする書面になりますが、それ自体には、法的な拘束力はありませんので、キャンセルは可能です。
ですので、申込書については、クーリングオフを適応しなくても、キャンセルすることはできます。
(もっとも、キャンセルできるからといって、安易に申し込みをするのは避けなければいけません)
ここでは、売買契約書のクーリングオフについて説明しています。
【参考】「申込書」に関しての注意点
「申込書」の注意点として、不動産会社によっては、
・申し込みの段階で「申込金」と称して金銭を要求
したり、あるいは、
・その申込金について、キャンセル時に、受け取った「申込金」を返還しない
などのトラブルの可能性もあります。
ですので、申し込みの際に、申込金などを要求してくる不動産会社は、注意が必要です。
少なくとも、キャンセルが可能かどうか、その場合の申込金の扱いについて確認しておきましょう。
※新築分譲マンションの申し込みの場合も同様に、キャンセルの場合の対処について確認することが大切です。
そのような場合も、万が一の時は、条件にもよりますが、下記のクーリングオフの知識は把握しておくと良いでしょう。
不動産取引における「クーリングオフ」について、具体的にみていきましょう。
「クーリングオフ」の適用条件とは?
売買契約書を取り交わした後に、クーリングオフを行う場合は、下記の要件が必要となります。
1.売主が宅建業者
不動産会社などの宅建業者が、自社の物件を販売するケースです。
例えば、不動産会社が転売目的や、物件を自社で買取ってリフォームして販売するような場合、あるいは、自社の投資用物件を売却するような場合です。
ですので、
売主が個人の場合
は該当しません。
売主が宅建業者の場合は、販売資料に、「取引態様;売主」との記載があります。
※一般的な仲介物件の場合は、「取引態様;仲介(媒介)」と記載されています。
2.買付申込書を記載した場所が宅建業者の事務所等以外(場所を買主側が申し出た場合を除く)
例えば、売買契約を喫茶店など、宅建業者の事務所以外の場所で取り交わすことも、要件になってきます。
逆に、買主が、
宅建業者の事務所に出向いて契約を行った場合
は、クーリングオフが適応されないということになります。
つまり、自ら宅建業者の事務所に出向いて申し込みを記載しているので、
買主自身の意思で(検討した上で)申し込みをしている
とみなさるわけです。
また、買主側が申し込みを記入した場所を指定した際も、クーリングオフの対象とはなりません。
3.クーリングオフができる旨を伝えられてから8日以内
売主である宅建業者からク-リング・オフができる旨およびその方法を書面で告げられた日から起算して、
8日以内
であることも要件になります。
日間経過したときは、クーリング・オフはできなくなります。
つまり、考え直す時間を与えられたにもかかわらずク-リング・オフをしないということは、買主の購入意思は固まっていると考えられるからです。また、この8日間は書面で告げられた日を算入して数えます。
また、クーリングオフを相手方に告知する際は、発信主義がとられていますので、内容証明郵便などでいつ発信したかの証明をとるようにすると良いでしょう。
4.物件の引渡し及び代金全額の支払いがなされていないこと
物件の引き渡しと代金が支払われてしまうと、
”契約が完了した”
とみなされますので、クーリングオフはできません。
5.買主が契約解除の申込みを書面にて行う事
クーリングオフを行う際には、その告知を行う必要があり、それは、書面で相手方に伝えることになります。
また、その期間は、上記にも記載したように、
売主である宅建業者からク-リング・オフができる旨およびその方法を書面で告げられた日から起算して、8日以内の行う必要があります。
さいごに
不動産の購入に関して、冷静に判断できていない状態で契約をしてしまった場合は、
クーリングオフの適用期間内
に、すみやかに、契約解除の旨の書面を内容証明郵便などで届けることをお勧めします。
また、上記の条件に合致しており、その上で、買主から申込みの撤回等の意思表示を受けた宅建業者は、速やかに手付その他の受領した金銭を返還する必要があります。
ちなみに、クーリングオフは、個人の消費者を保護するものですので、買主が宅建業者の場合は、適用されません。
あたりまえですね。
ちなみに、上記のような場合でも、売主である宅建業者とのトラブルになった場合は、各都道府県に
宅建業者を管轄する部署
がありますので、そこに相談されることをお勧めします。
参考;宅建協会 「クーリング・オフ制度について」
以上、「不動産取引でもクーリングオフは適応されるのか?」についての説明でした。