マンション選びの際に、
上からの騒音
がないか気になる。。
こんなテーマに関する記事です。
マンションによっては、上からの騒音が気になる場合があります。もちろん、居住者の使い方も影響しますが、その前に、建物の構造面をチェックしておくことが大切となります。
マンションで生活する上で、
騒音トラブル
は、深刻な問題となる場合があります。
そのほとんどが、上の階からの騒音です。
最近のマンションは、遮音性の高い構造をしていますが、中古物件を検討する際に、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
主に、
・そのマンションの構造的な点
・管理規約による床材の遮音基準
・これまでの騒音トラブルの有無
などに注意すると良いでしょう。
下記に順に説明していきます。
そのマンションの構造的な点について
スラブ厚について
マンションは、RC(鉄筋コンクリート)構造です。
上の階の床版(構造床)のコンクリートの厚みが、上の階からの騒音に影響します。
もちろん、より厚みがあると、防音性が増します。
その床版(構造床)のことをスラブと言います。
スラブの厚みについては、200mmは必要と言われています。
また、230mm以上あれば遮音性の高いマンションと言えます。
古いマンションでは、180mmの場合もあります。
スラブの厚みが、遮音性に直接的に影響します。
二重床か直貼りかどうか
マンションの床の構造には、
二重床と直貼り
の2つのパターンがあります。
結論からいうと、二重床のほうがお勧めです。
二重床
「二重床」とは、スラブの上に防振ゴムでできた支柱をたてて、その上に床をはる構造のことを言います。
ですので、構造上、スラブから離して床をはることになります。
一般的に、下記に説明する「直貼り」に比べ、「二重床」のほうが、遮音性能が高いと言われています。
「二重床」だと、上の階からの音が直接響かないからです。
ただ、「二重床」の場合、飛び跳ねるなどの大きな衝撃音の場合、「太鼓現象」により、音が伝わりやすくなるという面があります。
「二重床」で空気の逃げ道が無い場合、太鼓のように音が振動してしまうことです。
ただ、最近のマンションでは、空気の逃げ道を作って、「太鼓現象」を緩和している場合もあります。
また、二重床のほうが、配線も設置しやすくなりますので、リフォームする場合は、2重床のほうが良いと言えます。
直貼り
スラブに直接、床材を設置する構造を、「直貼り」と言います。
遮音性に関しては、上記にも記載しましたが、以前は2重床より遮音性が劣ると言われれいましたが、現状では、実際は極端な違いはないという見解が増えています。
もちろん、スラブの厚みは、遮音性能に直接影響します。
ただ、直床の場合は、スラブの上に直接、床材を設置しますので、通常は、
クッションフロア材(床面がふわふわした感じの素材)
が使用される場合が多くなります。
※逆に、2重床の場合は、床材の選択肢が多くなります。
但し、その場合も、使用する床材の遮音性能に規定があります。
リフォームの際の床材の選択肢
また、1階のお部屋の場合、「直貼り」の床ですと、地面からの冷えが直接くることが懸念されます。
【補足】
「直貼り」の場合、「二重床」で生じる高さが必要ない為、階高が低くて対応できる為、結果、
建築コスト
が低減されるという面があります。
これは、あくまで、建築する側からのメリットになります。
スラブ厚と、二重床かどうかの確認について
マンションの構造面に関して、
スラブ厚と、二重床かどうか
は、遮音性能や、リフォームの際の床材にも影響していきます。
ただ、スラブ厚と、二重床かどうかは、販売資料にはでていません。
ですので、その確認方法としては、
不動産会社
あるいは、
管理人さんに聞いてみる(調べてもらう)
といったやり方があります。
通常、管理人室に、建物の資料や、修繕計画についての資料などを保管しています。
※マンションの管理組合や管理人は、「マンション管理適正化法」によって、竣工図と呼ばれるマンションが造られた時の様々な図面を保管するように義務付けがなされています。
また、二重床かどうかについては、実際に物件を内見するのであれば、
ベランダの床面の高さと部屋の床面の高さ
や、
サッシの施工(下部)
をチェックすることで、ある程度、判断することができます。
管理規約による床材の遮音基準のチェック
マンションのリフォームする際において、
フローリングの張り替え
を行う場合は、概ね、管理規約によって
フローリングの遮音基準
が定められいます。
その遮音基準が厳しいほど、マンションの騒音に対する意識が高いと言えます。
フローリングの遮音基準は、
以前は、「推定L値(LL〇〇)」
が用いられていましたが、
現在は、「Δ(デルタ)L等級」
が用いられています。
この数値は、あくまで推定値ですので、遮音性を保証するものではありません。
以前の「推定L値(LL〇〇)」について
L値は、
スラブを伝わる音を遮断する能力の値
を意味します。
また、L値は、2種類あり、
「LL」=Light weightのL値;食器等の軽くて硬い物が落ちた時の音や椅子などを引きずる音
「LH」=Heavy weightのL値;人が飛び跳ねたり、走り回ったりするときの音
となっています。
それぞれ等級がきめられており、下記の内容となっています。
数値が低いほど、遮音性能が高くなっています。
「LL-45」の場合、
スラブを伝わる軽量衝撃音(LL)が45等級相当
となります。
少なくとも、「LL-45」程度の等級をお勧めします。
参照)L値ってなに?
「Δ(デルタ)L等級」について
これは、
床材が床衝撃音をどれだけ抑えられるかという製品単体の低減性能
をあらわしています。
ΔLL 1~5
ΔLH 1~4
で区分されており、こちらは、数字が大きいほど遮音性能が高くなります。
防音フローリングの業界団体では、
ΔLL等級-3以上
ΔLH-2以上
を推奨しています
(参考)床衝撃音低減性能の表示方法変更
そのマンションのフローリングの遮音基準をチェックしておくと良いでしょう。
こちらも管理人さんに聞いてみましょう。
また、仲介を担当している不動産会社も、管理規約を確認していますので、担当者に聞いてみるのも良いでしょう。
これまでの騒音トラブルの有無
これは、内見の際に、
さりげなく管理人さんに聞いてみて確認
してみましょう。
もちろん、マイナス面の情報なので、教えてくれないことが多いかもしてません。
逆に、そういったことは全くないということであれば、マンションを検討する際のプラス材料にはなります。
また、売主さんにも、上の階からの騒音の有無も聞いておくと安心です。
まとめ
マンションの上の階からの騒音については、被害者になる場合もありますし、逆に、加害者になってしまう場合もあります。
いずれにしても、マンションの構造が影響してきますので、マンション選びの際には、チェックしておくと良いと言えます。また、売主さんにも、上の階からの騒音が気になるかどうかも確認しておきましょう。
古いマンションの場合は、上の階に小さなお子さんがいらっしゃると、音が気になるようなケースもあります。
いずれにしても、マンションは、集合住宅ですので、居住者がルールを守って生活することが前提となります。
また、実際に住まわれてから、上の階からの騒音がひどい場合は、
管理人さん(管理会社)
へ相談しましょう。
以上、「マンションの上の階からの騒音について」の説明でした。