マンションの販売資料の「取引態様」の箇所にある、
「媒介」と「売主」の違い
について知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
マンションの取り引きの態様(形態)に、媒介や売主という記載があります。それらの内容と、気を付けておくべき点についてわかりやすく説明しています。
マンションの物件情報を見るときに、扱っている不動産会社の情報欄に
取引態様
という記載があります。
これは、不動産会社(宅建業者)がどのようなポジションでその物件を扱っているかを示しています。
取引態様の種類をとしては、
1.媒介(仲介)
と
2.売主
があります。
また、さらに、媒介(仲介)には、不動産会社の立ち位置として、
1-A; 売主側として仲介する不動産会社
と
1-B; 買主側として仲介する不動産会社
にわかれます。
もちろん、売主側の不動産会社が、買主側の不動産会社を兼ねることもあります。
それぞれについて、順に説明していきます。
1.媒介(仲介)とは
不動産の媒介(仲介)とは、
不動産会社が売主と買主の間に立って、その不動産の売買の契約に向けての業務を行う
ということ言います。
また、売買契約自体は、
売主と買主間
で取り交わされます。
不動産会社は、その取引を仲介する立ち位置で、
物件の調査、売買契約書の作成
といった業務を行い、その対価として、
仲介手数料を得る
ということになります。
売買契約書には、仲介する不動産会社は、
媒介業者
という位置づけで、社名が記載がなされます。
また、不動産の仲介を行う媒介業者は、都道府県、または、国土交通省の認可を受けた、
宅地建物取引業者
が行います。
【補足】個人間売買とは、、
ちなみに、不動産会社が仲介せずに、売主と買主が直接取引をする形態のことを、一般的に、
個人間売買
という言い方をします。
個人間売買の場合は、仲介する不動産会社がいないので、仲介手数料が発生しないというメリットがある反面、
契約書の不備などによる不動産取引に伴うトラブルのリスク
があります。
次に、
仲介する不動産会社の立ち位置の違い(売主側、買主側)
についてみていきましょう。
1-A; 売主側として仲介する不動産会社
売主側の不動産会社とは、
売主と不動産会社の媒介契約(仲介の契約)を取り交わしている会社
のことを言います。
また、その際の媒介契約(仲介の契約)の種類は、
・専属専任媒介(専属専任)
・専任媒介(専任)
・一般媒介(一般)
の3つがあります。
アットホームやスーモなどのサイトや自社のHPの記載で、
・専属専任媒介(専属専任)
・専任媒介(専任)
・一般媒介(一般)
よいった記載があれば、
売主と媒介契約と取り交わしている不動産会社である
ことがわかります。
また、
売主側の不動産会社を通して、マンションを購入する場合
は、
売主側の不動産会社が、買主側の不動産会社を兼ねる
ということになります。
この場合においても、
買主の支払う仲介手数料の金額
に、規定の金額になります(物件価格×3%+6万円+消費税)。
1-B; 買主側として仲介する不動産会社
マンションの販売資料に、「仲介」あるいは「媒介」とだけ記載がある場合は、
売主側の不動産会社の許可をとって、ネット上に物件掲載している不動産会社
となります。
その場合は、
買主側の不動産会社という位置づけで、情報を掲載している会社
となります。
物件の売主としては、広く情報を開示して、スピーディーに物件を売却するほうがメリットがありますので、
売主側の不動産会社1社だけ
が営業するのではなく、
その他の不動産会社も、営業活動を行う
という方法をとったほうが良い訳です。
不動産の売買時に、
売主側の不動産会社と買主側の不動産会社の2社が関与する場合
には、
この2社が、共同責任で仲介を行う
ということになります。
【補足】仲介手数料の「両手」と「片手」とは?!
ちなみに、
売主側の不動産会社が、買主さんを見つけてくれば、売主側の不動産会社1社で、仲介する
ということになります。
これは、業界で「両手」といわれます。
「両手」の場合、売主側と買主側の両方から仲介手数料収入があります。
つまり、売り手と買い手の両方から仲介手数料が入るので、「両手」と呼ばれている訳です。
それに対して、どちらか一方の仲介手数料だけの場合は、「片手」と呼ばれます。
「売主側の不動産会社か?」、「買主側の不動産会社か?」を気にするべきか?
マンション選びをする際、この、
仲介の種類
を気にされる方もおられます。
実際、同じ物件が掲載されていた場合、
売主側と媒介契約を取り交わしている不動産会社(専属専任、専任、一般)
もしくは、
買主側の不動産会社としての位置づけの会社(媒介)
のどちらの会社に、問合せをしたほうがいいでしょうか?
買主としては、いずれの場合も、仲介手数料は同じです。
結論から言えば、結局、
その不動産会社が信頼できそうな先どうか
での判断になります。
結局、不動産は高い買い物になりますので、
しっかりとした対応
や、
適切なアドバイス
を期待できる不動産会社に仲介してもらうことで、不動産購入のリスクを低減することができます。
ですので、
仲介の種類
より、
信頼できそうな不動産会社かどうか
を優先して選定したほうが賢明と言えます。
その前提を踏まえた上で、状況によって、
売主側の不動産会社のメリットや注意点
もありますので、下記に順に説明していきます。
売主側の不動産会社のメリット
調整事項などがあった場合、スピーディーな対応が期待できる
売主側の不動産会社のメリットとしては、
条件面の相談や確認事項などの対応が、比較的スピーディーに進められる可能性がある
ということがあります。
条件面などの調整事項がある場合、売主側の不動産会社の場合は、その担当者から売主に直接確認をします。
もっとも、対応が早いかどうか、調整が上手かどうかは、その担当者にもよります。
それに対して、買主側の不動産会社の場合、間に、ワンクッション入るということになります。
申込み状況などの確認などが、早い
売主側の不動産会社の場合、他の不動産会社から問合せや、申込みのも含めて、
その取りまとめ
を行っています。
ですので、申込みの状況などの確認も、直接、把握しています。
それに対して、買主側の不動産会社の場合は、申込み状況などは、売主側の不動産会社に確認後にフィードバックすることになります。
仲介する会社を選定する際の注意点
マンションの売買に実績があるかどうか
不動産会社によっては得意分野があります。なかには、
マンションの売買に慣れていない不動産会社
もあります。
その場合、いろいろな視点でのアドバイスが期待できないという可能性もあります。
その不動産会社の所在地が、物件と離れている場合
売主さんの都合で、そのマンションの所在地とは全く別のエリアの不動産会社が、売主側の仲介会社についている場合があります。
その場合、そのマンションのエリアの地域特性などの情報を持っていない為、適切な助言が得られない場合があります。
ネットに物件情報を掲載している会社以外の不動産会社も、仲介できる場合があります。
場合によっては、気になる物件があった場合、
他に信頼できそうな不動産会社があれば、そこで仲介ができる可能性
もあります。
つまり、売主側の不動産会社は、売主と専任媒介契約を取り交わした場合は、
レインズという不動産会社間のデータベースで、その物件の情報を開示する義務
があり、それを見た他の不動産会社も、その物件の仲介をすることができるという仕組みになっています。
ですので、アットホームやスーモに掲載がある不動産会社以外でも、原則は、その物件を扱うことができます。
その場合、
買主側の不動産会社
という立ち位置になります。
(ただ、本ページの後段に解説する、「売主」の物件は、扱えない場合が多いです。)
注意!「物件の囲い込み」とは?!
売主側の不動産会社の中には、
他の不動産会社に情報を提供しない悪質な会社
もあります。
その場合、他の不動産会社からの問合せに、申し込みがはいっていない状態でも、
「申し込みがはいっています」など
と言って、他の不動産会社の関与を排除しようとします。(囲い込みという行為)
そのようなことをしている会社とわかったら、そこは避けたほうが賢明です。
専属専任・専任・一般の違いについて
売主側の不動産会社が、売主さんと取り交わす媒介契約(仲介の契約)には、上記にも記載しましたが、
・専属専任媒介
・専任媒介
・一般媒介
の3種類があります。
それぞれの違いは下記の内容になります。
・専属専任媒介;物件の売買は、不動産会社経由のみ。売主自身が買主を見つけることはNG。
・専任媒介;不動産会社の仲介の他、売主自身が買主を見つけることもOK。
・一般媒介;売主側の仲介会社は複数でもOK。
専属専任媒介は、ケースとしては少ないです。
実際、売主自身が買主を見つけることは、ほとんど無いのですが、売主自身が買主を見つけて売買を行った場合、売主側の不動産会社に仲介手数料が入らない可能性があります。
それを防ぐために、専属専任媒介にこだわる不動産会社があります。
売主にとっては、専任媒介より、縛りがきつい内容となります。
不動産会社が売主の場合
取引様態が「売主」の場合は、
不動産会社が、売主
ということになります。
この場合、物件を売主から直接購入しますので、仲介手数料は、発生しません。
逆に、他の不動産会社を通すと、仲介手数料が発生してしまいます。
不動産会社が売主の物件の場合は、
買い取った物件をそのまま転売する
あるいは、
買い取った物件をリフォームして販売
するケースが多いです。
当然、そこには、不動産会社の利益がのっています。
ですので、不動産会社は、なるべく低めの金額で買い取っています。
リフォームして販売する場合は、リフォームという付加価値がつきますので、その分、販売価格も高めの設定にはなります。
ただ、購入後にリフォームする手間が省けるというメリットがあります。
ただ、リフォーム済み物件といっても、
水回りも含めたリフォームの場合
と、
例えば、クロスの張替えだけといった部分的なリフォームの場合
など、その範囲には、物件ごとにバラツキがあります。
仲介手数料が無い分、お得なようにも感じますが、
販売価格
そのものが相場やリフォーム内容と照らし合わせて、適正かどうかを判断することが重要なポイントとなります。
まとめ
問合せをする不動産会社が、
売主側の不動産会社かどうか
について、結構、気にされる方もおられますが、上記にも記載したように、
・不動産会社の対応がしっかりしているかどうか
・物件の購入にあたっての適切なアドバイスが受けられるかどうか
のほうが、大切と言えます。
もちろん、ある程度、自身の判断に自信がある場合は、上記事項を気にする必要性は低くなるかもしれませんが、少なくとも、不動産は、高い買い物になりますので、
リスクを低く、また、気持ちよく取引を行う
ということが大切になってきます。
ですので、専門知識にもとづいて対応ができ、信頼できる不動産会社かどうかを見極めることが重要と言えます。
以上、マンションの販売資料の「取引態様」の箇所にある、「媒介と売主の違い」についての説明でした。