販売中のマンションで、
「未入居物件」
というのがあったけど、どういう物件なのかを知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
マンションの「未入居物件」とは、まだ誰も住んでいない物件になります。ただ、新築物件とは異なりますので、その内容について、解説しています。
マンションの販売物件の中には、
「未入居物件」
というものがあります。
割合としては、かなり稀な物件になります。
実際、未入居の物件自体、市場にはでてきません。
ただ、価格も含めて、条件がよければ検討に値しますので、そういった物件がでてくれば、候補のひとつに加えても良いでしょう。
未入居物件のメリット、デメリットは下記になります。
未入居の定義とあわせて順に、説明します。
未入居の定義
未入居の定義としては、
居住履歴が無い
ということです。
では、
新築物件との違い
は、何になるのでしょうか?
新築物件の定義は、
「1年未満」で「未入居」
ということになります。
※ここでいう「1年未満」は、建物の検査済証が発行された日から計算して1年未満という定義になります。
国土交通省の、
「住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条(定義)第2項」
では、下記の記載となっています。
この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条(定義)第2項」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000081
ですので、
1年以上経過した物件は、「新築」という文言は使用できずに、「未入居」という言い方
になります。
例えば、新築マンションで売れ残ってしまって1年以上経過してしまった物件は、販売資料に「新築」との表記はできず、「未入居」という表記になります。
ただ、売れ残った物件以外のケースもあります。
入居前に売却するケース
それは、
マンションを購入後、何らかの事情で、入居前に売却するような場合
です。
新築マンションの場合は、建物の完成前の段階で販売を開始しますので、契約してから完成までに期間があります。
その間に、入居できなくなったような場合です。
転勤の場合や、その他の家庭の事情の場合もあります。
その場合の注意点としては、
登記簿に、最初の所有者の履歴が記載
されます。
もちろん、所有権は移転しますので問題ないのですが、登記簿上は、通常の中古マンションの売買と同じく、前所有者の履歴が表記されます。
未入居物件を、新築物件と同じ感覚で捉えていると、気になる箇所になりますので、予め認識しておきましょう。
未入居物件は、「新築物件では無い」という捉え方をすると、中古物件とも言えます。
※1年未満で未入居の場合は、「新築未入居」という記載の場合もあります。
投機目的の場合
また、ご家庭の事情の他に、
最初から投機目的で新築マンションを購入するようなケース
もあります。
その場合、未入居物件といっても、かなり高めの価格設定で売りに出すようになります。
相場よりかなり高めの設定をしている「未入居物件」は、投機目的の物件の可能性が高いので注意しましょう。
地権者住戸
その他のケースとしては、
「地権者住戸」
という場合があります。
これは、もともとマンションの土地を所有していた地主さんが、マンション用地として土地を売却する際に、完成後、マンションの住戸を取得するする場合です。
その際、複数戸の住戸を取得する場合もあり、それを売却するようなこともあります。
その場合、未入居で売りにだすと、未入居物件となるわけです。
マンション用地の地権者が1人の時もありますし、複数人いる場合もあります。
ちなみに、地権者が複数の住戸を持っているマンションの場合、マンションの管理組合での議決権にも多少、影響がでてきます。
マンションの議決権は、住戸数や所有している専有面積に対して議決権が付与されますので、複数の住戸をもってる場合、議決権の割合も大きくなります。
ただ大型のマンションの場合、その影響は少ないと推察されますが、小規模マンションの場合だと、所有する住戸数、専有面積によっては、影響力を持つ可能性もあります。
未入居物件のメリット
完成後の状態を確認できる
新築マンションの場合は、建物の完成前の早い段階から販売を開始します。
建築前の為、モデルルームで部屋の雰囲気を確認したりします。
実際の眺望や、共用部分など、あくまでパース図やCGなどでチェックして判断することになります。
未入居物件の場合、実際に建物も完成しているので、実際の眺望や、部屋の細かい箇所、共用部分も確認でき、新築物件のように建物の完成前後のギャップの生じるリスクが軽減されます。
設備などが新しく、リフォーム費用の負担が無い
お風呂や台所などの設備も、未使用ですので、気持良く入居することができます。
ですので、中古マンションの場合、状況によって必要となるリフォームにかける費用が無しで済みます。
未入居物件のデメリット
売れ残っている場合、理由がある
新築分譲で、1年以上売れずに「未入居物件」となった物件の場合、売れ残った理由があります。
日当たりの問題や、低層階での眺望の問題など、いくつかの原因があるかもしれません。
価格面でそれらがカバーできるという考え方もありますが、マンションは、高額な買い物になりますので、十分に検討しましょう。
売却理由
一旦、売れて、未入居のまま売却される場合は、その売却理由を確認しておきましょう。
売却理由は、入居前に転勤が決まったなど、ご家庭の事情等の場合が多いと思われます。
ただ、例えば、新婚でマンションを探されていて、
「前の所有者が、離婚の為、未入居で売却された物件」
だと、人によっては、あまり良い感じはしないかもしれません。
気にされる方も多いと推察します。
契約後にそのことがわかると、仲介業者とのトラブルに発展する可能性もあります。
売却理由は、事前に確認しておくのが賢明です。
いずれにしても、未入居物件の場合も、通常の中古物件と同じうような視点で事前にチェックして検討しましょう。
補足;住宅品質確保促進法(品確法)に関連する事項
住宅品質確保促進法(品確法)のなかに、
新築住宅における瑕疵担保期間10年
という事項あります。
これは、新築物件に関して、
「住宅の柱や壁など構造耐力上主要な部分」
「屋根など雨漏りを防ぐ部分」
に、瑕疵(工事不備、欠陥など)が見つかった場合、「引き渡し後10年以内に見つかった場合は、売主(または施工会社など)が無償補修などをしなくてはならない」
というものです。
新築物件の定義は、1年未満の未入居の物件となります。
ですので、未入居物件については、新築住宅における瑕疵担保期間10年の義務化の対象外となります。
ただ、戸建てと違って、構造上の部分などは、共用部分となりますので、それらに不具合があった場合は、マンション全体の問題として管理組合が対応することとなります。
そういった意味合いでは、個々の住戸の売買に関して、住宅品質確保促進法(品確法)の「新築住宅における瑕疵担保期間10年」の対応外となっても、戸建て住宅のような影響は少ないと言えます。
また、未入居物件が業者売主の場合は、2年間の瑕疵担保期間が義務付けられています。
まとめ
未入居物件については、
物件によっては、リーズナブルな価格で購入できる可能性
もあります。
ただ、逆に、
売れ残っている物件の場合は、それなりの理由
があったり、あるいは、
訳アリ物件の可能性
もありますので、慎重に検討する必要があります。
また、もともと、転売も目的で未入居の場合は、価格面が、
逆に相場より高い
ようなケースもあります。
もちろん、設備などが新品に近い状態であることなど、プラス面もありますので、メリット、デメリットの双方をみて、判断しましょう。
以上、「マンションの未入居物件について」の説明でした。